レポート:令和6年能登半島地震支援チャリティイベント「フェーズフリー。それは生命を守るライフスタイル」(前編) 能登半島地震支援活動・現状報告

  • 代々木公園

2月16日(金)、渋谷LOFT9で「アースデイ東京Open Meeting vol.31」として、令和6年能登半島地震支援チャリティイベント「フェーズフリー。それは生命を守るライフスタイル」を開催。

今回のOpen Meetingは、令和6年能登半島地震支援チャリティイベントとして開催。半農半歌手のYaeさん、そしてアースデイ東京の河野 竜二さんを司会に、黙とうから始まった第一部では能登半島地震の支援活動を行う団体からの現状を報告いただきました。そして第二部では、巨大地震の発生リスクが高まる中、これからのライフスタイルをどう考えたらいいのか――新しいキーワード「Phase Free(フェーズフリー)」をテーマに、アースデイらしい視点からさまざまな分野の登壇者の方々と話し合いました。

※この記事は当日行われたトークセッションの一部に加筆修正したものです。

第一部:能登半島地震支援活動・現状報告

【登壇者】
・一般社団法人OPEN JAPAN 木村とーる/てっしー(オンライン)
・能登地震学生団体「わかものと」 代表 納田薫(オンライン)/副代表 清水涼太
・アースデイ東京  新納平太
・アースデイ東京ユース 上野我唯(オンライン)

能登半島地震を受けて支援活動の動き

2024年の元日に能登半島地震が起きた直後から、一般社団法人OPEN JAPAN(旧:ボランティア支援ベース絆)はいち早く現地に支援に入りました。アースデイ東京では東日本大震災のときにともに活動したつながりがあり、震災直後からOPEN JAPANの緊急支援活動費を集めるサポートを行っています。

1月3日に能登に入ったOPEN JAPANの木村とーるさんは「まったく情報がなく地図も頼りにならなくて、どこまで行けるのかわからない状況。通行止めがあったり、道路に亀裂が入っていたりして、車で通過できないルートがたくさんあった」とその時の状況を話します。

(画像)能登町からオンラインで登壇した木村とーるさん

以前に信州・美麻村のエコビレッジで水もガスも電気もない生活を送った経験をもつ木村さんは、そのときの知恵が役立つのではないかと1995年の阪神淡路大震災のときに支援に入り、8000食の炊き出しを行いました。阪神淡路大震災以降も全国各地の災害支援に携わっており、今回も能登町に拠点を置き、周辺住民の避難状況やニーズをくみ取りながら、炊き出しをはじめとするさまざまな支援を行っています。

1月下旬には、アースデイ東京からもメンバー数名がOPEN JAPANの拠点を訪れて活動に参加しました。「埼玉県小川町から石川県能登町に自動車で向かったのですが、普段なら5時間半の道のりに、休憩をはさみながらとはいえ12時間ほどかかりました。被災地に行くには、南から北へと向かう限られたルートしかない。これが支援がなかなか進まない理由のひとつだと伺いました」と河野さん。

このとき同行したアースデイ東京ユースの上野我唯さんは、「2月、3月はつねに学生ボランティアが来てくれるようにオーガナイズしてほしい」という要望を受けて、その後も能登町に通いながら、常に数名の学生ボランティアが現地で作業に参加できるよう、参加者の募集や日程の調整、引継ぎなどのコーディネートを学生団体「わかものと」とともに行っています。

「わかものと」による学生ボランティアのマッチング

「わかものと」は、能登半島地震を受けて設立された学生団体で、学生ボランティアと被災地での支援ニーズのマッチングを行っています。

「能登と若者をかけて名付けた『わかものと』は、大学の地域創生ゼミから始まった活動です。以前から能登町とは関わりがあり、今回の地震に対して若者に何かできることはないかと1月1日に団体をつくりました」と 話すのは「わかものと」代表の納田薫さん。

地震の翌日には、東日本大震災などでの復興支援経験のある人たちから、どのような活動をしたらいいのかを聞くオンライン勉強会を開催。4日から先遣隊を現地に派遣して、状況把握やニーズ調査をしたそうです。ボランティア活動を支援するNPO法人ETICをはじめ、現地の中間支援団体や企業からの協力も得ながら、現在は能登町、輪島市、七尾市、穴水町、金沢市など広い範囲で活動をしています。

「活動内容としては、小学校に設置された避難所の運営、物資の移送、OPEN JAPANでの炊き出しのサポートのほか、最近では被災者の方たちに足湯でリラックスしてもらうという企画などもやっています。活動資金はクラウドファンディングで集め、企業から移動車両も提供してもらいました。被災地支援の経験ある方々たちにアドバイザーとして入ってもらいながら、安全に気を付けて学生を派遣しているので、学生ボランティアとして参加したい方がいましたら、ぜひご連絡ください」(納田さん)

「わかものと」ボランティアに参加するには

わかものと」ボランティアに参加したい方はこちらのフォームにご記入ください

全国の被災地から支援の“恩返し”が生まれている

「わかものと」副代表の清水涼太さんも「北海道から沖縄までたくさんの学生が参加してくれていますが、『能登で起きている問題は日本全体の問題だ』と感じている人が多い」と言います。

珠洲市や能登町は少子高齢化が進む地域ですが、清水さんは、住民の方たちから「この地域で起きている高齢化に伴う問題は、10年後、20年後にほかの地域でも起こること。だからこそ若い人たちに自分の目で見てもらい、それが何かのアクションにつながったらいい」と言われたそうです。

「ボランティアだけでなく、私たち若者に何ができるのかを考えて第一歩を踏むためにも大事な経験になると思っています」(清水さん)

(画像)「わかものと」副代表の清水涼太さん

また、アースデイ東京の新納平太さんは、「ここ数年の間に全国で災害が起きていますが、そのときに支援を受けた地域の人たちが、いま“支援の恩返し”としてOPEN JAPANの活動に参加している。それをすごく象徴的に感じた」と話していました。

「わかものと」のボランティアに参加する学生にも、熊本地震で被災された方が「助けてもらったから、何か自分もできることをしたい」、「東日本大震災のときは小学生だったけど、何か恩返しをしたい」という人は多く、全国各地からの支援の「恩送り」の輪が生まれています。

OPEN JAPANによる現状報告

若者によるボランティア活動の様子を共有したところで、あらためて現地で活動を続けるOPEN JAPANから被災地の現状を伺いました。

災害支援にかかわって10年以上になるというOPEN JAPANのとっしーさんは、拠点を置く能登町では災害から約2カ月半以上経っているのに、まだ水が出ていない地域があると報告。

「お風呂に毎日入ることができないとか、避難所で温かい食事がとれずカップラーメンやレトルト食品を食べ続けている高齢者もたくさんいます。近くのコンビニは3日前にようやく開きましたが短時間営業で、働いたり、片づけたり、避難したりしながらの状況の中で買い物に行けない人もたくさんいて、厳しい状況が続いています」

その一方で、災害ボランティアセンターも少しずつ動き始めていて、県や町内のボランティアの姿も街中で見かけるようになってきたそうです。

(画像)能登町からオンラインで登壇した、とっしーさん

被災地で活動する中で、「“よそ者”だからこそ、できることがあるんじゃないかと感じている」と、とっしーさん。

「“よそ者”だからこそ、『実はね……』と、おばあちゃんがぽろっと話してくれることもある。ボランティアの若者が来て話を聞くことで、おじいちゃんやおばあちゃんが元気になって、『もう少し頑張ってみよう』と思えるような空間がつくれたら」

ボランティアに参加したい人に、「これは大事にしてほしいというのは何ですか」というYaeさんの質問には、「炊き出しや土砂の運搬は“手段”であって、その人の生活が少しでもよくなってほしいという気持ちがまずあると思うんですね。なので、相手の気持ちやどういう生活状況にしていきたいのかを聞く力・考える力がすごく大事になってくるのかなと思います」(とっしーさん)

木村さんも「水環境がまだ非常に悪い中、アースデイ東京や関係者の皆さんの協力によって、リユース食器や移動型食器洗浄システムなどを被災地での支援に採り入れることができている。アースデイに関わる皆さんはたくさんの知恵を持っていると思うし、やれることはたくさんあると思うので、ここに皆さんの力を注いでもらえたら」と、能登半島地震緊急支援プロジェクトへの支援を呼び掛けて、第一部を締めくくりました。

OPEN JAPAN 緊急支援プロジェクト

<寄付>
Yahooネット募金「令和6年 能登半島地震 緊急支援(OPEN JAPAN) 」
https://donation.yahoo.co.jp/detail/5548001

<現場活動の詳細>
OPEN JAPAN 緊急支援プロジェクト Facebook
https://www.facebook.com/profile.php?id=100083288771554

(画像)会場でYaeさんが販売した大根やもろみなどの売り上げは、OPEN JAPAN緊急支援プロジェクトの寄付に充てられた

※第二部「巨大地震の発生リスクが高まる中、これからのライフスタイル『Phase Free(フェーズフリー)』について、ゲストから学ぶ。」のレポートはこちらから