市民による日本最大級の祭典・アースデイ東京。その事前準備から当日運営までを大きく支えているのがボランティアの力です。今年のアースデイのテーマは『Lifestyle Shift, NOW! 未来を創ろう!』。来場者の方だけではなく、多くの人とかかわりを持つボランティアにも「ライフスタイルシフト」を遂げるきっかけがあります。
アースデイ東京の事前作業日「オープンデイ」の席で、ボランティアコーディネーターの尾野村嘉洋(まお)さんとボランティアの皆さんに生の声を聞かせてもらいました。
●「1人」から広がる仲間の輪。
今回のオープンデイに参加したのは、23歳から37歳までの社会人9名。仲良く作業を進める9名ですが、皆さん最初は「1人参加」からのスタートだったといいます。ボランティアの魅力はどこにあるのでしょうか。
「職場と家の往復という生活から抜け出したくて見つけたのがアースデイ東京でした。何よりの魅力は多種多様な人たちと出会えることです」。そう話すのは、2010年からアースデイボランティアに参加しているヒデさんです。
またボランティアに参加することで、人生を前向きに捉えられるようになったという方もいました。
「普段は人とのコミュニケーションでモヤモヤすることが多々あります。ボランティアに参加している人にはいろんな方がいますが、どこか根底に共通する想いがあるように感じていて。そこにいるだけで気持ちが浄化されて、世界が広がっていきます(ナオチ)」
このほかの皆さんも、ボランティアを始めるきっかけは、「楽しそう」「人との出会いを求めて」などさまざまでしたが、ボランティア活動後も大切な仲間になっているそうです。
●アースデイ東京で生き方が変わる。
今年のアースデイ東京のボランティアコーディネーターを務めるのは尾野村嘉洋(まお)さん。100名以上にもなるボランティアのコーディネーターです。そのまおさんがアースデイ東京にかかわるようになったきっかけをうかがいました。
「高校生の頃からNPOやNGOに就職したいと思っていました。ただ調べてみるとNPO・NGOの新卒採用はなかなかなくて。それなら学生のうちからボランティアをして就職につなげようと考え、初めて参加したのが2009年のアースデイ東京でした」
まおさんはここで出会ったNPO法人iPledge(当時のA SEED JAPAN)でボランティアを続け、卒業後、一般企業を経てiPledgeに就職。昨年はiPledgeの職員としてアースデイ東京のボランティアコーディネーターを務め、今年はフリーランスの立場で同職を担っています。
まおさんのようにアースデイを機に夢を実現させた方がいる一方で、実現できなかった夢に近づくためにボランティアを続ける方もいました。2014年からボランティアを続けるキエさんです。
「大学では環境学部でサスティナブルライフについて勉強していました。卒業後は環境にかかわる会社への就職を希望していましたが叶わず、プライベートで環境にかかわる活動をしたいと思ってボランティアをしています(キエ)」
●「やりたい人」が「やりたい形」で関われることの魅力。
年齢も思想もさまざまな人たちが集うアースデイ東京のボランティアですが、向き・不向きはあるのでしょうか。
「ボランティアという言葉は、「奉仕」と訳されることが多いのですが、そもそも意味は、『自発的』や『自発性』などを意味しています。義務でも誰かに強制されるものでもなく、個人の自由な意志により、考え、発想し、行動するという “自発性”が大切です。自発的であるがために個々の取り組みに違いがあり、既成概念に捕らわれずに自由で先駆的な取り組みができます。“自発性”こそがボランティア活動にとって最も大切な部分なのです。ですからこういう人に向いているとか、こういう人に来てほしい、という性質のものではありません。自分からやりたいと思えば誰でも参加できるのがボランティアの魅力だと思います(まお)」
参加することも自由なら、関わり方も自由。今年でアースデイ東京のボランティアを始めて10年になるというコナさんは、2年目から仲間とともに「ホスピタリティチーム」を立ち上げました。
「当時ボランティアコーディネーターをしていた方の発案で、参加するボランティアの不安を和らげるチームをつくろうということになり、一緒に立ち上げました。やりたいと思ったことが実現できるボランティアは、本業の仕事よりも達成感が強いかもしれません(コナ)」
以来9年続いているホスピタリティチーム。コナさんのようにボランティアが主体となり、能動的に何かを生み出すことができるのも、市民による祭典であるアースデイ東京ならではです。
また、事前作業やイベント前後の会場設営撤去作業だけに参加する方もいます。この日事前作業に参加したキエさんもそのひとりでした。
「アースデイは4月22日だけではありません。キエさんにとってのアースデイは今日だし、本当は毎日がアースデイ。どんなかかわり方も大歓迎です。(まお)」
●コーディネーターとしての戦い。
「アースデイというイベントの本質は、地球のために考えて行動すること。僕自身もアースデイ東京に出会って、環境問題、社会問題、政治など、さまざまなマインドチェンジをすることができました。アースデイがなければ今の僕はありません。アースデイやボランティアのみんなに恩返しという意味も込めて、参加するすべての人がアースデイのマインドを持ち帰って『ライフスタイルシフト』できるようなイベントにしていきたいと思っています(まお)」
この言葉を表すように、今年のボランティア説明会ではアースデイの成り立ちや歴史、今地球が抱えている問題をじっくり説明していたまおさん。ボランティアのひとりひとりが考え、当日は自らが何かを吸収し、来場したお客さんに向けてアウトプットする立場になっていくことを期待していると言います。
●ボランティアから始まる「ライフスタイルシフト」
アースデイを前に、新たな挑戦を試みようとする方がいました。今回のオープンデイでは最年少参加の23歳、ナオチさんです。
「アースデイ東京のボランティアは今年が初めてですが、コンセプトに共感したので自分でも何かできないか考えてみたんです。そこで海外のYouTuberがやっていた「30日ゴミゼロチャレンジ」を私も4月22日のアースデイまでの1ヵ月間で挑戦しようと思っています。本当に達成できるか不安もありますが、反面、ワクワクもしています(ナオチ)」
ナオチさんのように、アースデイを視野に自ら考えて行動に移す人。当日同じボランティアや出展者、登壇者との出会いで生き方が変わる人……。今年もさまざまな出会いがあることでしょう。今いる場所から一歩踏み出して、新たな未来を創っていく人たちが増えていく。アースデイ東京に参加して、それぞれの「きっかけ」を見つけてみてください。
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https://www.earthday-tokyo.org/wp_2020/2017/01/23/3978